▶ 症状と疾患 ▶ 治療について ▶ 脊椎・脊髄領域における新たなる手技 ▶ 担当医
症状と疾患
脳神経外科で扱う主な疾患・症例
脳神経外科では、以下のような疾患・症例の診療を行っています。
※各症例名をクリックすると、該当症例の詳細をご覧いただけます。
I 脳血管障害
- 脳動脈瘤
- 破裂脳動脈瘤、くも膜下出血
- 未破裂脳動脈瘤
- 脳内出血
- 脳梗塞 急性期脳動脈閉塞症
Ⅱ外傷
- 頭部外傷
- 硬膜内/外血腫、急性/慢性硬膜下血腫
- 骨折
- 脊椎脊髄損傷
- 腰椎圧迫骨折
Ⅲ 脊椎脊髄症
- 頚部脊柱管狭窄症(症例Hと同様)・腰部脊柱管狭窄症
- 頚椎椎間板ヘルニア、狭窄症
Ⅳ 脳脊髄腫瘍
その他
治療について(これまでの経験から)
I 脳動脈瘤
A くも膜下出血・多発性脳動脈瘤 コイル塞栓術
50歳女性。頭痛、嘔気嘔吐にて発症のクモ膜下出血。意識清明、麻痺なし(Hunt & Kosnik Grade2)。CTにてくも膜下出血(Fisher’s group3)、CT脳血管撮影にて多発性脳動脈瘤を認めた(B1)。挿管、全身麻酔下にて血管撮影にて再確認(両側内頚後交通動脈瘤(右:Neck/Dome/Height=4.1/13.8/7.7mm,左:N/D/H=3.7/10.5/5.0mm)、左前脈絡叢動脈瘤(N/H1(高さ)/H2(靴底の径)=2.1/2.3/4.5mm長靴型)、右末梢性前大脳動脈瘤)、引き続きコイル塞栓術を施行した。クモ膜下出血は右に多く、歪な形で大きいことから右内頚後交通動脈瘤を出血源と判断、まず塞栓(B2)した。その後、左前脈絡叢(B3)、後交通動脈瘤(B4)のコイル塞栓術を行い前大脳動脈瘤は未治療で終了した。経過良好で職場復帰した。多発性の場合もコイル塞栓術が可能な場合がある。
CTにて広範なくも膜下出血を認める。CTの血管撮影にて①から③の動脈瘤を認める。くも膜下出血の範囲、動脈瘤の大きさ・歪な形より①の動脈瘤が破裂と判断する。
① 破裂右後交通動脈瘤
② 左前脈絡叢動脈瘤
③ 左内頚動脈瘤
B 56歳 女性 未破裂右中大脳動脈瘤 クリッピング術
頭痛にて来院、MRIにて未破裂右中大脳動脈瘤Neck/Dome/Height=5.2/9.3/8.2mm
娘動脈瘤含む(Neck/Height=3.3/2mm)を指摘された。
全身麻酔下にて右前頭側頭開頭クリッピング術施行。
12 mm外側向きカーブクリップにてクリップ施行
C 81歳 女性 未破裂多発性脳動脈瘤 フローダーバータ:パイプライン
偶然MRIにて多発性右内頸動脈瘤を指摘される。
(ダンベル型N/D1/D2/H=4.3/2.8/2.5/6.7mm)と瘤型N/D/H=4.6/4.1/2.2mmその他)
1)術前 右内頸動脈に3ヶ所の動脈瘤を認める
2)フローダイバータ(整流作用ステント):メッシュ状の構造にて
血流の方向を変えて動脈瘤内の血栓化を進め閉塞するステント
3) フローダイバータ瘤閉塞模式図:瘤内への血流を抑制し血栓化・閉塞を促進
4)フローダイバーター留置術直後 動脈瘤の描出は残る
5)16ヶ月後 CT造影にて動脈瘤は完全に消失
D 55歳 女性 左被殻出血 開頭血腫除去術
55歳女性。意識混濁、右片麻痺、失語にて発症、救急搬送。JCS30,右片麻痺,混合性失語あり。CTにて左被殻出血(縦X横X高さX1/2=65X50.3X50mmX1/2=82cc)を認める。全麻下にて緊急開頭緊急血腫除去を施行。術後、覚醒良好なるも右片麻痺、混合性失語残存。回復期リハビリを経て失語かなり改善、mRS Grade3、装具にて辛うじて歩行可能となっている。高血圧性脳内出血の典型例であり圧迫所見が大きい場合には手術が必要。
E 85歳 女性 血栓回収
85歳女性。院内循環器外来受診後に失語、意識障害、右片麻痺にて発症。心房細動の既往があり抗凝固剤の投与を受けていた。外来終了後、上記発症。CTにて変化なくMRI(A)にて左内頚動脈閉塞を認めた。t-PAにて血栓溶解療法を行いその後血管撮影にて閉塞を再確認し、引き続きステント・レトリーバーを用いて血栓回収を行った。末梢の循環が多少低下までとなる良好な再開通(TICI Grade 2c、発症より約4.5時間)を得た。覚醒良好、麻痺も早期に改善するものの運動性失語優位の混合性失語が残った。回復期リハビリを経てmRS Grade2、運動性失語を多少残した。
F 71歳 男性 右内頚動脈狭窄 ステント留置術(CAS)
血栓塞栓予防の方法には内頚動脈狭窄部遠位の部分に一時閉塞用バルーンを置く方法、総頚動脈と外頸動脈を同時に一時遮断をする方法(血栓を一網打尽に回収するMouse Trap法)、血流を保ちながらメッシュ状のフィルターワイヤーを狭窄部遠位部に置いたりする方法とがある。
71歳男性。左半身麻痺にて発症、すぐに改善するもMRI(A)にて右内頚動脈岸部の高度狭窄が判明(E1)。
局所麻酔下にてマウストラップ法という独自手法を用いて脳への血栓・塞栓を予防し、ステント留置を施行した。
術前の血管撮影にて右内頸動脈起始部の高度狭窄を認める。
上段は右内頚動脈に高度狭窄を認め、総頚動脈と外頚動脈を同時に血流を一時遮断して前拡張、ステント留置を行っている。
下段はMouse Trap法(血栓を一網打尽に改修する方法)を示している。総頚動脈と外頚動脈の各々に置いたバルーンを拡張して血流を一時遮断して前拡張、ステント留置、後拡張を行う。各操作の終了毎に血栓などを含んだ血液を回収し、それを濾過して体内に濾過後血液を戻す。その後、閉塞を解除して血流を再開させる。これを3回の操作で繰り返して血栓を回収し血液を戻している。術後、経過良好にて退院となっている。
外来観察時のCTAngioにても十分な拡張が保たれている
Ⅱ 外傷
G 68歳 男性 左慢性硬膜下血腫 穿頭・洗浄ドレナージ術
68歳男性。右片麻痺、失語にて発症、嘔吐後JCS100となり救急搬送となった。CT上、右慢性硬膜下血腫(厚さX縦X高さ=32.1X135.2X75mm(一部急性)を認めた。数ヶ月前に通勤途上での転倒歴あり。局所麻酔下にて緊急穿頭・血腫排除・洗浄・ドレナージ術を施行。術中、血腫膜を切ると勢いよく液状の古い血腫が吹き出してきた。155ccの血腫を排除。頭部外傷後、数ヶ月で頭痛、麻痺、意識混濁が出ることがあり注意を要する。
術後、経過良好で症状軽快退院。
H 81歳 男性 頚部脊柱管狭窄症をベースとした頚髄損傷 椎弓形成術
原付自転車走行中に交通事故にて頚髄損傷。四肢筋力MMT 4/V
後方からのアプローチ。セラミック製人口椎弓にてC4,5,6の椎弓の形成、高度肥厚黄色靭帯の切除にて狭くなった脊柱管を拡大し神経減圧術施行
上段の術前CTM(ミエロCT)にて脊柱管狭窄症を認め硬膜嚢の狭小化を認める。
下段の術後CTでC4,5,6の椎弓の開大と人工骨による固定が見られる。
上段、術前のMRIにては脊柱管狭窄症と硬膜嚢の縮小を認める。C5/6のレベルでは頸髄損傷の髄内高輝度を認める。
下段、術後のMRIにて脊柱管の開大が見られ髄液腔の拡大が見られ、十分な減圧が行われている。独歩退院となっている。
I 74歳女性、外傷性腰椎圧迫骨折 骨セメント固定
右折車の助手席に乗っていて右折レーンで停車していた。後続車が40Km/Hで突っ込んできた。中心性頚髄損傷に対して前方除圧・固定を行い、L4圧迫骨折に対してセメント注入固定を行った。
経皮的椎体形成術BKP (Balloon Kyphoplasty)
椎体骨折に対して骨セメント固定
メドトロニック社提供
第4腰椎に圧迫骨折を認めるも椎体の形態が辛くも保たれている
経皮的に椎弓根に留置したチューブを介してバルーンにて椎体内の均一なスペースを作りました。その後 骨セメントを注入し終了する。社会復帰する。
J 圧迫骨折に対する後方固定 経皮的椎弓根スクリュー
82歳 女性。圧迫骨折(L1)、硬膜外血腫(Th12-L2)
夜間、50ccのバイクで転倒。L1圧迫骨折、Th12-L2硬膜外血腫あり。腰背部痛あり。Th11,12,L3,L4後方固定(経皮的椎弓根スクリュー)、Th12-L2椎弓半切除・硬膜外血腫除去術。リハビリにて軽快独歩退院する。
胸腰椎MRIにて第一腰椎(L1)圧迫骨折、第12胸椎~第2腰椎まで硬膜外血腫(赤矢印 )を示す。CTにても第一腰椎圧迫骨折(↑)を示す。
経皮的椎弓根スクリューによる後方固定と椎弓半切除にて血腫除去術を行いました。
術後三次元CT(3D-CT)にて第11,12胸椎、第3,4腰椎両側に椎弓根スクリューとロッドが見られる。
断面CTにて第11,12胸椎、第3,4腰椎両側の椎弓根にスクリューが正確に入っている。
Ⅲ 脊椎・脊髄症
K 54歳 男性 後縦靭帯骨化症 骨化巣切除・ボルト固定なし
以前から両肩、頚部痛あり。
両上肢挙上困難、軽度歩行障害にて受診。MMT上肢3/V,下肢4/V。
MRI,CTにてC4-C5後縦靱帯骨化症を認め硬膜嚢を前方から後方へ高度な圧迫を認めた。
右頚部アプローチにて前側方アプローチ、靭帯骨化巣の摘出を施行、リハビリにて歩行安定、約二ヶ月で自宅退院、外来リハビリを続け、術後5ヶ月で両上肢挙上が正常化した。
*身長/体重=157cm/125.5Kg、BMI50.9 短頚であったが気管切開など必要なく管理、軽快した。
術前CTにてC4,5レベルにおいて椎体後面から後方に向かって右寄りに大きな石灰化塊がみられ 脊柱管内を占拠している。
術後CTにて石灰化塊はほぼ摘出されている。椎体部の骨欠損部は人工骨セラミックにて補填されている。
術前MRIにて硬膜嚢、脊髄が骨化巣により右後方へかなり圧排されている
術後MRIにて硬膜嚢、脊髄の膨らみは良好。術後5ヶ月で完全に症状消失。
Ⅳ 脳・脊髄腫瘍
L 58歳 男性 巨大腰椎椎間板ヘルニア 内視鏡的ヘルニア切除
右寄りの中心性巨大椎間板ヘルニア。数年来の腰痛、右下肢痛。
右アプローチ・腰部脊椎内視鏡にてヘルニア切除術
腰椎MRIにては術前、巨大椎間板ヘルニアをL4/5に認める。術中の内視鏡の鏡筒が
右側から挿入されている。術後、十分な減圧が得られている。
M 90歳 男性 左後頭葉再発性髄膜腫
ふらつきにて発症。他院で同部の腫瘍摘出術の既往あり。
たてXよこX高さX1/2=68.4mmX20.8mmX50mmX1/2=69.8cc
MRI造影にて巨大な腫瘍が左後頭葉に見られる。術後摘出を確認。
N 66歳 女性 腰髄神経根鞘腫
下肢感覚障害にて発症。椎弓切除にて腫瘍摘出術施行。
術前、腰椎MRIにてL3レベルに円形の腫瘍を認める。
術後、消失を確認。
脊椎・脊髄領域における新たなる手技
OLIF(Oblique Lateral Interbody Fusion):腰椎前方固定術
斜め外側椎間固定術
変性側湾症に対して矯正をかける手技
メドトロニック社提供
鋭意準備中
担当医

西 正吾にし しょうご
特任部長
脳神経外科、脳神経血管内治療、脊椎脊髄外科
略歴・経歴
鳥取大学医学部卒業
京都大学医学部・大学院・医学博士
資格・専門医
日本脳神経外科学会 指導医
日本脳卒中学会 専門医・指導医
日本脳卒中の外科学会 技術指導医
日本脳神経血管内治療 専門医・指導医
日本脊髄外科学会 認定医
脊椎脊髄外科 専門医
PIPELINE実施医
脳梗塞急性期rt-PA静注療法の適正使用のための講習会終了
BKP(Balloon Kyphoplasty):経皮的椎体形成術実施医
OLIF(Oblique Lateral Interbody Fusion):腰椎前方固定術実施医
ご挨拶
2020/4/1前任地に着任以来、『脳神経外科・脳神経血管内治療科・脊髄外科』を一人で立ち上げ、これまで大隅半島領域での医療に急性・慢性を問わず、昼夜問わず対応してまいりました。
脳脊椎を問わず外傷、急性・慢性脳卒中、急性期脊髄損傷・慢性的な変性脊椎症、脳脊髄腫瘍、機能性頭痛(片頭痛、筋緊張性頭痛など)などを対象に当科的な治療を行ってきました。慢性硬膜下血腫などの局所麻酔下での穿頭・血腫除去術から始まり、急性硬膜外/硬膜下血腫・頭蓋骨骨折・脳挫傷性出血などの外傷、脳腫瘍、脳動脈瘤・脳出血・脳動静脈奇形などの脳血管障害などに対して原則的には開頭術を行い必要に応じて血管内治療の手技も交えまして脳神経外科的手術を行ってきました。
局所麻酔ないしは全身麻酔にて血管内からカテーテルを用いてアプローチして治療を行う脳血管内治療も行っています。脳動脈瘤や脳動静脈奇形などの出血性病変に対してはコイルや、接着剤などの糊を用いて瘤内、あるいは血管内腔を閉塞(塞栓)して治療します。狭窄病変に対してはバルーンおよびステントを用いて血行再建を行います。通常は頚動脈狭窄病変の遠位部にフィルターワイヤーというデバイスを留置して血流を保ちながら適宜発生する血栓を回収します。頚動脈ステント留置の際に用いる血栓塞栓予防のデバイスの一つとして独自のマウストラップ(一網打尽)法という血栓回収システムを発案して使っています。特に、狭窄部が高度の場合にはフィルターの通過の際に血管壁をこすって血栓などが生ずることがあります。そこで予め閉塞用バルーンにて総頚動脈、外頚動脈の血流を一時遮断するマウストラップ法にて一旦血流を止めフィルターワイヤーや前拡張用バルーンなどの通過後、体外に血栓を含んだ血液20-40ccを回収して、より安全に処置を行います。回収した血液は血栓を濾過後、体内に戻します。前拡張、ステント留置、後拡張の各操作時で短時間の一時遮断、血栓回収、血流再開を繰り返します。
頚椎から腰椎までの脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎変形症、外傷などに対して整形外科的手法を基本に脳外科的な手術顕微鏡を用いて脊椎脊髄手術を行います。頚椎の後方除圧目的にて行われる頚椎椎弓形成の際に椎弓スペーサーをスクリューにて固定して脊柱管の拡大を図っていますがその椎弓スペーサーのホルダーを開発し手術の簡略化、時間短縮を行なっています。難病の一つである後縦靭帯骨化症においての頚椎前方除圧でも可能な限り金具の固定具を用いず体の切除部分を最小限にする前側方椎体部分切除アプローチ、病変切除を行なっています。前外惻方から進入し8mm幅の椎体の溝を外側に施し奥の中間の深さで、ラッパ状に椎体部分切除を行い神経後面の除圧を行います。椎体をなるべく残すことで金具固定が回避できます。
この度、移動で2026/10/1ここ「むさしの救急病院」へ着任しました。
従来の脳神経外科手術に加えカテーテルを用いた血管内治療、更には神経全体としてみて脊椎脊髄外科治療、また急性、亜急性、慢性疾患を問わず、あらゆる治療法を駆使して疾患に対処していきたいと思います。もちろん、適正なタイミングで検査を行いタイムリーな加療を行いたいと考えています。
私は鹿児島生まれ、大阪育ちの中で、メリハリの効いた、ボケとツッコミの効いた職場環境形成を目指し、患者さんには最善の医療を提供したいと思います。色々ご迷惑をおかけすることとは思いますが、大阪育ちの脳神経外科のプロとして、『大阪の笑い』に免じましてどうかよろしくお願いします。

































